もしもの小部屋 #11 西川清美さん<【仕事vs育児なの?】制度はあった。でも誰も使わなかった現実──元エンジニアが50代で行政書士に!>
【ゲスト】
コスモリンク行政書士法人
行政書士
西川清美(にしかわ きよみ)
▼Webページ
https://cosmolink.jp/
コスモリンク行政書士法人の西川清美さん。
行政書士として外国人雇用のサポートや補助金申請や契約書の作成、許認可申請などの法人支援をおこなっている。
西川さんは電子工学科の大学を卒業後、三菱電機名古屋製作所に就職し、電子回路の設計者として活躍していた。
その後、出産を機に退職。
ブランクを経て選んだ職場は特許事務所だった。
理系の知識と経験を活かして新しい技術を言語化して技術系企業の特許出願を手掛けていたという。
しかし、もっと人や事業に関わる仕事をしたいと考え、開発系企業の法務知的財産部に転職し、特許出願を提案や新人教育、プロジェクトリーダーに対する特許の教育などに携わった。
特許に関する実務をおこなってきたため、弁理士資格の取得を目指したが「試験が難しすぎたからあきらめた」と笑った。
弁理士資格を取得するためには、年間2,000時間の勉強を3年続けて取得しても「早い」と評されるレベルだという。
西川さんは、資格取得にそこまでエネルギーを費やすのならば、資格を活かしてもっと人や事業と関わった方が楽しいと考え、行政書士の道を選んだのである。
西川さんはエンジニアとしての経験や知的財産業務で培った知見を活かし、「現場を理解する行政書士」として中小企業のさまざまな課題に向き合っている。
▼西川さんへの『もしも』のインタビュー
― もしも過去に戻って自分にひとつだけアドバイスができるなら、いつに戻って、どんなアドバイスをしたいですか?
最初に就職した会社(三菱電機)を、妊娠を機に退職したときですね。
当時も育児休業の制度はあったんですが、周囲に取得する人が全然いなかったんです。
だから、「子どもができたら辞めるのが当たり前」と思っていました。
でも1年ほど経って、「なぜ辞めたんだろう?」「辞めなくてもよかったかも……」と後悔する気持ちも出てきて……。
開発の仕事は好きだったので、もうちょっと続けたかったなと思っていたんです。
だから、あのときの私に「みんなが育休を取っていなくても、自分は取っていいんだよ」と言ってあげたいですね。
― もしも辞めずに仕事を続けていたら、どうなっていたと思いますか?
今も技術者として開発の仕事を続けていたかもしれませんね。
全然想像がつかないですけど、みんなで製品をつくり上げる開発の仕事は好きだったので、技術開発を極めていたかも。
でも、そうしたら今の自分はいなかったかも……と思うとちょっとさみしい気もします。
どっちが正解だったかはわかりませんが、結局、これでよかったのかなと思っています。
― 今でも育児と仕事の両立を難しいと感じる方が多いですよね。
そうですね。
特に中小企業ではまだまだ休みを取りにくい雰囲気もあると思います。
でも、だからこそ「まわりがこうだから」とか「人の目がこうだから」ということではなく、「自分がどうしたいのか」をしっかり考えて、自分の意思を大事にしてほしいです。
少し話は違いますが、私が行政書士の資格を取ったのは50歳を過ぎてからなんです。
もしかしたら「今さら?」と思われていたかもしれません。
でも「今さら遅い」なんて、人に言われる筋合いはないですよね。
自分が本当に何をしたいのかを考えて行動すると、色々な道が見えてくるかもしれません。
― 何かの岐路に立っている人にアドバイスはありますか?
人生にはいろいろなステージがああります。
結婚、出産、育児、介護などの状況によっては仕事を辞めなければいけないときがあったり……。
でもそこからまた会社に復帰できる可能性もある。
だから、「今さら遅い」とか「もう無理かも」なんて考えずに、どんどんチャレンジてほしいです。
そんなチャレンジの先に、新しい道が開けるかもしれないと、私は思っています。
― 西川さん、ありがとうございました。