お知らせ

もしもの小部屋 #1 栫正人さん<もしもの小部屋>

【ゲスト】

合同会社KAKOI

代表 栫 正人(かこい まさと)さん

米粉パスタ『おいで食べ米』の製造・販売

Webサイト: https://ka-koi.co.jp/komekofoods/

Instagram: https://www.instagram.com/kakoikomekofoods/


米粉パスタ『おいで食べ米』の製造・販売をされている栫正人さん。

工業大学を卒業した後、栫さんはエンジニアとして働きはじめた。

しかし「人と関わる仕事がしたい」とという思いから教員に転身。

それから約35年間、教員として子どもたちの育成に携わってきた。

 

教員の仕事を退職した後、栫さんは子どもがもっと輝けるようサポートするために起業したのだ。

当初は、子どもを取り巻く環境を改善するために保護者支援や教育支援をおこなっていたという。

その活動の中で、栫さんは【米粉】について知り、米粉パスタの開発・販売をスタートさせた。

栫さんは、米粉との出会いを運命のように感じたという。

教員時代、給食時に食物アレルギーを持つ子どもが救急搬送される事故が起きたのだ。

学校ではアレルギーへの対応がしっかりと周知されており、対策も万全にしていると思っていた。

それでも事故が起きてしまったことに、栫さんは大きなショックを受けたという。

 

その事故から、栫さんの心の中にはアレルギーに対する想いがずっと残っていたのだ。

米粉は小麦のアレルギーを持つ人も食べられる食材だが、安全に食べられる米粉の食品は少ない。

それを知ったとき、栫さんは「これは自分がやらなければ」と感じたという。

そうして、食品開発も販売もまったく経験がなかったにもかかわらず、誰もが安心して食べられる米粉パスタを開発し、販売をはじめたのである。

アレルギーがある人も、アレルギーのない人も、一緒においしく同じものを食べられる

そんな思いの詰まった米粉パスタ『おいで食べ米』は、事業のスタートから2年半ほど経った現在では、メディアでも取り上げられるほど注目を浴びている。

レンジで温めるだけで食べられる冷凍米粉パスタ。

  • ボロネーゼ 白米麺
  • ボロネーゼ 玄米麺
  • ジェノベーゼ 白米麺
  • ジェノベーゼ 玄米麺

茹でて自分好みに調理ができる米粉パスタの乾燥麺

  • 米粉パスタ 白米麺
  • 米粉パスタ 玄米麺

 


▼栫さんへの『もしも』のインタビュー

― もしも、過去に戻って自分にひとつだけアドバイスができるなら、いつに戻って、どんなアドバイスをしたいですか?

いっぱい失敗があるので、ひとつだけというのは難しいんですが、その中で一番戻りたいのは12年ほど前の子どもが中学に入学する頃です。

私自身が「もうちょっと勉強ができたらよかったのに」というコンプレックスを持っていたんです。

それで、中学に入って受験につながるからとプレッシャーをかけてしまったんです。

「もうちょっとやればできるようになる」と応援するつもりだった言葉が、子どもにとって大きなプレッシャーになってしまったんです。

その結果、子どもが中学2年生になったときに学校に行けなくなってしまったんです。

 

中学2年生になった4月1日の朝に動けなくなってしまいました。

泣きながら「学校に行く」と言うんですが、体が動かないんです。

そして、その日から学校に行けない日が続きました。

 

子どもが学校に行けなくなった原因を考えると、自分の思いを強く子どもに投影して無理強いをしてしまったことだと思います。

子どもの気持ちを考えずに、自分の思いだけを押し付けてしまった……。

うちの子はすごくスポーツが好きで、ニコニコしている元気な子だったんです。

もしも過去に戻って変えられるなら、子ども自身のやりたいことを自由にやらせてあげたいですね。

そんな風に子どもに声を掛けられたら良かったと思います。

 

― ご自身が抱いていたコンプレックスをお子さんには感じてほしくないという気持ちだったんじゃないかと思いますが、それではダメだと当時の栫さんに伝えたいんですね。

そうですね。

ただ、その当時の経験が今でもずっと生きています。

子どもの学校は私立のカトリックで、校長先生が神父さんだったんです。

その校長先生が「無理をしなくても大丈夫」と言って、ずっと見守ってくださいました。

そして私も校長先生から「あなたが素晴らしいのは、あなたがあなただから」「どういう状況であっても、あなたは素晴らしい」という考え方を教えていただきました。

教員の仕事で、特別支援の子たちと接するようになったとき、その子はそれが素晴らしいと感じて、校長先生の言葉がすごくよくわかりました。

 

いろいろな障害があるけれど、どの子もすごくかわいいんです。

そうしてその子の背景に目を向けることができるようになりました。

たとえば、今日は機嫌が悪いけれど、友だちと喧嘩をしたというだけじゃなくて「その背景に何があるんだろう?」と気にするようになったんです。

校長先生は、魚を見たときに「安いね」だけじゃなくて、どんな海で生きていたのか、どうやって運ばれてきたのかなど、そういう背景も見られるようになるといいですねと話していたんです。

教員としてもそれをすごく意識していて、目の前の状況だけではなくて、背景まで見られるようになったのはすごく大きいと思います。

 

― お仕事に関しても一点だけを見るのではなく、背景まで見られるようになったんですね。

いろんな視点でみられるようになりました

極端な話だと、たとえば行列に横入りする人がいたとき、「えぇ!」と思うだけじゃなくて、「何でその人は横入りしたんだろう?」「何か他に用事があったのかもしれない」という風に考えられるようになると、自分自身のストレスも減るんですよ。

いろんな人を認められるようになったんだと思います。

 

― その後、お子さんはいかがですか?

1年ちょっと不登校、保健室登校の状態だったんですが、無事に中学・高校を卒業して、大学にも行って無事に卒業しました。

本当にあの子にはつらい思いをさせてしまいましたけど、本当に感謝しています。

あのつらい時期がなければ、もっと伸びた部分はあったと思いますが、これからの人生で、子ども自身が何かやりたいことがあるなら、それを応援できるようになりたいと思っています。

 

― 栫さん、ありがとうございました。

栫さんのインタビューの様子は動画でもご覧いただけます。